著者のコラム一覧
一雫ライオン作家

1973年、東京都生まれ。明治大学政治経済学部2部中退。俳優活動を経て、35歳のときに演劇ユニット「東京深夜舞台」結成を機に脚本家に転身。主な脚本作品に、映画「TAP 完全なる飼育」「サブイボマスク」、東野圭吾原作「パラレルワールド・ラブストーリー」など。2017年に家族愛を描いた「ダー・天使」(集英社)で小説家デビューし、翌年「スノーマン」出版。最新作は幻冬舎から出版予定。

物書きは人と出会ってなんぼ 出会いも文字にして原稿料を

公開日: 更新日:

「どうすれば脚本家や小説家になれますか?」

 作家志望の青年の相談に乗る羽目になったのだが――。

 ☆ ☆ ☆ 

 唐突に青年からメールがきた。

〈一雫ライオンさま いままで作家になりたい僕の質問にお答えくださり、ありがとうございました。作家になるのは辞めました。長いか短いかはわかりませんが、ありがとうございました。お身体ご自愛ください〉

 別れはいつだって突然。相変わらず「長いか短いかはわからない」など丁寧な子なのか阿呆なのかわからぬ子だが、なんだか寂しい。ちょっと面倒な21歳の君とのやりとりがルーティンにもなっていたから、ちょっと切ない。それよりなんだか、告白もしていない子に勝手に振られたみたいでおじさん悔しい。

 などと思いながらも、やはり物書きなど外道の道。明日より今日さえわからぬ浮草稼業だ。辞めると決めたのなら、道に迷う青年を減らせたと思えば、このメールのやりとりもすこしは意味があったのかもしれない。

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