立川談志師匠の「お別れ会」で殿がポツリともらした一言
現在、61歳になる俺だが、時間は巻き戻せないものである! を痛感している……。なんであの若かりし頃に師匠である偉大なる立川談志ともっと真剣に向き合えなかったのであろうかと……。
今のこの気持ちで20代前半に弟子入りしたばかりの俺に戻れたならば……と何度となく考えるが、その答えはいつも決まって、「でも、俺が入門した頃って師匠はまだ40代半ばで落語協会脱会だ! どーしたこーしたって血気盛んだったし……てか、ものスゲー怖かったし……あー、やっぱりあの頃に戻っても、俺は俺でフラフラとした師匠との関係のままなのだろうなあ……」となってしまうのですが……。
とにかく死ぬほど怒られた!! 何度「クビだー!!」と言われたことか? ただ両手では数えられないくらいクビを宣告されたにもかかわらず、ついぞ真実のクビは一度としてなかったのだった。
いや、そもそも理解不能なクビさえ存在したのだ。例えば、俺が師匠のところからたけしさんの下で「たけし軍団」として活動しているある日、突然「あ、深夜にスミマセン、師匠がダンカン、クビだから伝えとけって言われまして!」と師匠に付いている若い弟子から電話が入る。「えっ、なんで俺、何かした?」「いや、ワタシもよくわからないんですが、思い出したとか? 思いついたとか? で」「ちょ、ちょっと待ってよ! 思いついてクビって……あ、師匠、明日どこにいる?」という会話を交わし……翌日、菓子折りを抱え、師匠がインタビューを受けている料理屋に謝罪(?)に行くと「おっ? おまえ、今日は何だ?」「(何だって、クビにされたから来たんでしょう!!)いや……あの、その……」「元気にやってるか、たけしに迷惑かけんなよ、おっ、おまえ、一杯やってけ飲んでけ! 飲んでけ!!」。