超テキトーな弟子だった俺は談志師匠にも口から出まかせ
連帯責任による破門に怯える志の輔が弟弟子として入門してきたことにより、それまでも超テキトーだった俺は、さらにテキトーに拍車が掛かり、現在で例えるなら「5Gのテキトー弟子」となっていくのであった。
なにしろ、こっちにしてみれば、連帯責任という「人質」というか……あ、そー、もっともわかりやすく言うなら水戸黄門様の印籠を授かったようなものだったのだから……もちろん俺だって師匠に破門されたくないから、その印籠を談六兄さんや志の輔の前に差し出し「え~い! 頭が高い! 俺のテキトーを許さないと師匠の前でシクじったるでェ、ガハハハハ……」という極悪非道なマネこそはしなかったものの、元来がズボラな性格だけに始末が悪い……。
師匠が2階の寝室で寝ている間は(師匠は用事がない時は大概昼近くまで休んでいた)1階のリビングにある電話で知り合いの女の子に電話をかけまくるわ……おっ、そーいえば一度俺がいつものように女の子に電話をしているところを師匠に現行犯で見つかったことがあったのだ。
「談カン、何電話してんだ?」という師匠の怪訝な顔を目にして、全身の血液が一瞬にして凍り付いたが、次の瞬間俺の口からは「あ、ええ……いや師匠のファンだって女の人から電話がきまして」と、とっさに口から出まかせが飛び出ていたのだった……。