「大物になりたいならワルになれ」を金魚に教えられた俺
その行為をいつから俺が始めたのか? は覚えていないが、その金魚の鉢の中にガラス拭き用の中性洗剤をピュッピュッと吹きかけるのがいつしか俺の現代風にいうところのルーティン、ま、世間一般でいうところの習慣となっていたのです。
別に鉢の中の金魚に興味を持っていたわけでもないので、来る日も来る日も、やりたくもないガラス拭きのために外に出るたびにピュッピュッとやっていたのだ。そんなある日、なんの気なしに鉢の中の金魚を見ると……ウ、ウ、ウソだー!! つい3カ月くらい前まではかわいい小指の先ほどの金魚だったのが10センチほどに成長してるじゃないですかー!!
えっ、誰かが別の金魚を追加した? いえ、いえ、そんな様子は一切ありません……ということは、正真正銘あの小さかった金魚に間違いないのです!!
その時、俺の頭に突然浮かんだのは故事の「水清ければ魚棲まず」であり、確か子供の頃、結核にならないようにわざと毒素(?)を入れるツベルクリン注射を打ったよなあ……人間も同じで、悪いモノや悪いコト(警察のお世話にならないくらいの)を経験した者の方が大きくなるんじゃねーか!? という考えだったのだ。