近年アカデミー賞作品は人生相談室みたいなシケた話ばかり
テレビのぶらり途中下車の旅じゃなし、お金も節約し、日銭バイトもして、全国中の警官から何百回と職質されて(彼の放浪活動を理解できた警官なんかいなかったんだろうが)、公園や道端に「家」は無断で置けないので、寺や神社や個人の敷地に頼みこんで生活をつないだとも。さぞかし、社会の冷たさや温かさ、今どきの日本人の考えてることがよく分かったことだろう。
その7年間の活動を記した「家をせおって歩いた」(村上慧/夕書房)という本や絵の展覧会が先月、石川県金沢市の美術館で開かれたので、そこに頼んで、本人に電話させてもらった。毎週日曜の昼1時からしゃべっている、鳥越アズーリFM「井筒和幸の無頼日記」というネットテレビの生放送でのことだ。「羨ましいわ」と伝えると、「この資本主義社会の中で……いろいろ思いました」と答えてくれた。