妻からの厳命でたった一晩で何千冊もの本を処分することに
通販で買えばいいと思われるだろうが、もちろんそれも買う。毎日のようにAmazonがやってくる。かくして我が家には本があふれる。しかも読んでいない本が本棚や壁の隙間に二重三重に積み上げられ、見えなくなるからますます読まない。結局この先の一生かけても読みきれなさそうな大量の本が我が家にある。何千冊はあろうか。
反対に奥さまは片付け上手の捨て上手だ。さすがに私のものを勝手に捨てたりはしないが、増えゆくモノたちを苦々しく見ている。
そしてついに命令が下った。ここからここまでのスペースに入るだけの本を残し、全て売れと言う。もっと若ければ反論もしたが、そろそろ「終活」も考える年頃、仕方なく暇を見つけてダラダラとやっていたら、らちがあかんと見た妻は、さらなる強硬手段に出た。本ではなく私の部屋の壁一面に設置した本棚をバラし、粗大ゴミで出せと言う。しかも期限は1日。これはもう至上命令だ。
本棚に飾った本や小物を全て出し、本棚を部屋から撤去してばらさなければいけない。ほぼ一晩で。
先ほどまで泣きながら本を仕分け、もうときめくとかときめかないとか考えている暇もなく、段ボール20箱に梱包し、その横で奥さまは頼もしいぐらいのバリバリという音を立てながら本棚を解体していた。
何十年間で収集したものは、私の心を少し癒やしただけで、あえなくゴミになった。私が宝だと思っていたものは私の体にまとわりつく汚いあかだったのかもしれない。
感傷に浸っている暇はない。次には数多くのフィギュアと大量の服が待っている。