欧州のミステリードラマには深みがある 日本の刑事モノとはレベルが違う
ヨーロッパミステリーのもうひとつの特徴は、時代背景や社会問題をしっかり描くところだ。
ポワロは第1次世界大戦でドイツに追われたベルギー難民で、英国に来てからも偏見に悩まされている。ホームズが住むロンドン・ベーカー街は高級住宅街だが、路地裏には浮浪児がたむろしていて、そこには階級社会が歴然としてある。モースは経済は衰退、国民生活も困窮した1960年代の「英国病」の真っただ中にいて、警察も人員整理と経費削減で四苦八苦だ。
「謎解きだけでなく、時代が描かれることでストーリーに説得力と厚みが出て、大人の観賞に堪えるドラマになっているんです」(前出の評論家)
「名探偵ポワロ」の後番組の「刑事コロンボ」もいいが、ここは「刑事フォイル」にしてほしかったな。
(コラムニスト・海原かみな)