飯野矢住代誕生秘話<15>予定日より2カ月も早く出産…男児は呼吸困難に陥り重篤な状態に
午後9時を回って、出産を終えて眠っていた矢住代がようやく目を覚ました。分娩室のドアが開いて、ジョニーと辰子は矢住代と言葉を交わしている。その会話も記者は克明に記す。
矢住代「赤ちゃん、箱(保育器)に入るんだって。私の方が赤ちゃんより先に退院ね」
ジョニー「おサルさんみたいだった」
矢住代「でも、いい顔だったわよ」
ジョニー「鼻がペシャンコだった」
矢住代「生まれたばかりだからよ」
ジョニー「俺も3カ月早産の未熟児だったけど、こんなに大きく育ったから大丈夫さ」
矢住代「そこまで似なくてもいいのに」
程なくしてナースが「産婦は疲れています。ご家族の方はもう出て下さい」と追い立てるように言うと、矢住代は小声でこう言った。
「ねえジョニー、ここから出ていかないで。出る真似をして窓から入っておいで。いなくなるのは嫌」