「男系男子」にこだわる安倍晋三氏ら守旧派の無理難題を天皇家だけに強要するのは酷
「男系男子」にこだわる安倍元首相は「私たちの先祖が紡いできた歴史が、1つの壮大なタペストリーのような織物だとすれば、中心となる縦糸こそが、まさに皇室だろう」(「文藝春秋」2012年2月号)と述べている。要は、「過去に女系天皇は一人も存在しなかった」から、伝統を変えるなというわけである。最近では「男性にしかない性染色体のYを、千数百年にわたって引き継いでいるのは日本以外にない」というように遺伝子継承を主張する意見もある。
前者は、「男系男子」は世界でもまれな制度だから守れといってるように聞こえる。しかし「男系男子」を守れというのは歌舞伎の伝統を守れとは違う。一夫一妻制の少子化の現代にあって、天皇家だけにそれを強要するのは酷だし無理というものだろう。後者のY染色体を守れなんて、まるで天皇には特殊なDNAが流れているかのように聞こえる。天皇家も初代はその他大勢のひとつであったはずで、歴史的な流れの中で現在の天皇になっていったのだ。特別なY染色体があったからではない。
「縦糸」とか「千数百年の伝統」を唱える守旧派の考え方は、現実離れしているというしかない。
まさか彼らは「神武天皇のY染色体を継承できるのは男系男子だけ」なんて、本気でそう思っているのだろうか。(つづく)