“小道具の銃”誤射で監督死亡…アメリカ映画よ、いつまで銃を撃ち合うんだ
昔だが、テレビ番組でニューヨークに行って、映画「タクシードライバー」のラストの銃撃場面のパロディーを撮った時も、ガン・プロップに「ヘイ! ハンズアップ!」と若い白人俳優たちは怒鳴られっぱなしで、現場は緊張の連続だった。空包でも至近距離で撃たれる相手役は服の下にアルミ板の腹当てを巻かないと風圧がきついし、発砲側の腕や肩への反動もかなりのものだ。日本の若い役者が大げさな反動芝居をして洋画のマネをするのとはわけが違う。銃を撃った経験がない役者が銃を撃つ演技はほんとに見ていられない。
死亡したのは撮影監督だが、それはディレクター・オブ・フォトグラフィーのわけだ。日本では撮影(カメラマン)のことで、自らファインダーをのぞいてカメラを操作するが、欧米ではカメラのオペレーターは別にいて、撮影監督はカメラワークとライティングの仕方を指示し、画面のルック(色合いや雰囲気)を決める仕事だ。主演のアレックが銃を構えるその正面で、画を考えてる最中だったのか。死んだその女性が42歳の妻であり、息子の母だったと聞いて胸がつまった。
邦画の燃える剣劇ショーも嫌いだが、アメリカ映画よ、いつまで銃を撃ち合うんだ。ただの撃ち合い場面はもういいよ。