ブッチー武者さんの今 ハロウィーンで“懺悔の神様”仮装したらバズって時の人に
ブッチー武者さん(コメディアン/69歳)
1980年代に一世を風靡した伝説のバラエティー番組「オレたちひょうきん族」(フジテレビ系)。トリを飾る人気コーナーが「ひょうきん懺悔室」だった。ブッチー武者さん(69)は、出演者の出したNGが○か×かを判定し、×なら水を浴びせる“懺悔の神様”としてブレーク。さて、今どうしているのか?
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「いやー、本当にビックリでした。11月1日、僕のツイッターがいきなりバズったんですよ。『いいね!』こそ4万弱ですが、ユーザーが閲覧した回数はなんと355万回超! 最初は夢を見てるのかと、目を疑いましたね。アハハハ」
都内・大塚で会ったブッチー武者さんが、こう言って大笑いした。
コトの発端は、10月30、31日、池袋で開催された国内最大級のコスプレイベント「池袋ハロウィンコスプレフェス2021」に、武者さんが「ひょうきん懺悔室」の“神様”の衣装で参加したことだ。
「知人から、『ひょうきん族が終了して30年以上経つけど、番組を知らない今の若い世代のコスプレーヤーはどんな反応を見せるか、いっぺん試してみようよ』と言われましてね。で、それに乗ることにしてエントリーフィ2500円を払って一般参加。そうしたら人だかりができちゃって、フジテレビの情報番組『ライブニュース イット』で放送されたんです。それを見た視聴者が僕のツイッターに反応したってワケ」
それを見たネットメディアから取材依頼もあり、一躍時の人となった。
「今の仕事? もちろんコメディアンを続けてるし、2014年に『ZANGE(ざんげ)』という劇団を立ち上げて、06年に京都で起きた介護殺人事件をテーマにした『生きる』というオリジナル作品を中心に公演活動をしています」
京都の介護殺人事件とは、母親を介護していた当時54歳の男性が、介護疲れと生活苦から親子心中を図って86歳の母親を殺害した事件。公判では、裁判官、検事ともに男性の状況に同情し、涙を隠さなかった。
「コント山口君と竹田君の山口弘和さん、介護経験がある大信田礼子さんらが出演し、田原総一朗さんが推薦文を出してくださっています。介護って、年を経るに従って誰にでも待ち受けること。今のうちに心の準備が必要ですよ、という趣旨です」
これまで19回公演してきたが、昨年来の新型コロナ禍で休演中。今後はオンラインでの配信を考えているそうだ。
「○か×かの判定は完全にアドリブだった」
さて、1952年8月6日に、長野県は軽井沢の西隣にある東御市で生まれた武者さんは、地元高校を卒業後に上京。就職先は、お笑いとは無関係の建築設計事務所だったが、20歳の時に退職して演劇の世界へ。たまたま受けた「NHKお笑いオンステージ」のオーディションに合格したことがきっかけでコメディアンになった。
「師匠は94年に亡くなられたレオナルド熊さん。熊さんには、かなりシゴかれましたが、81年に、『ひょうきん族』に“懺悔の神様”での出演が決まり、僕の人生は大きく変わりました。○か×かの判定は、事前打ち合わせなしで当日のアドリブでした。明石家さんまさん、ビートたけしさんでも平気で×。一番受けたのは、当時、フジテレビの編成局長で現在、フジサンケイグループ代表の日枝久さんに×を出したとき。スタッフの表情が一瞬で変わりましたよ。でも、日枝さんは大笑い。おおらかな時代でした」
番組終了後も“懺悔の神様”はお笑いの営業で引っ張りだこ。
「ビルは建ってませんが、けっこう稼がせてもらいました。その分、熊さん亡き後にお世話になった、コント『ゆーとぴあ』のホープ師匠に貢がされましたけどね(笑い)」
ホープさんとは91年、アフガニスタンの反政府ゲリラの基地へ行き、ゴムパッチンの一発芸をしてきたこともあった。
「ゲリラを支援している日本のグループの誘いだったんです。真冬だったので零下十数度の中、吹雪の中で遭難しかけたこともありましたが、言葉は通じなくても、芸は心を開かせるってことを学びました」
また、新宿・歌舞伎町で「懺悔の部屋 女無BAR」も営業。こちらはハウスボトル飲み放題で税込み6600円だ。
「YouTubeもやってますので、ぜひご覧ください」
(取材・文=高鍬真之)