<6>「収穫したお米は『談志米』と名付けて贈答品に」
仲「ありがたかったですね。いい落語をやっていただきました。中でも『笠碁』が素晴らしかったですね」
私もその会で聴いている。仲の良い者同士が口喧嘩をして絶交状態になるが、仲直りするという噺だ。打ち上げの時に、「今日の笠碁は、俺と小さんをモデルにした」と言っていた。
仲「そうでしたか。小さん師匠と仲直りしたかったんでしょうね」
2011年に入ると、談志は声がかすれて、聞き取りづらくなっていた。それでも2月22日に東京芸術劇場で催された東京ボーイズの会にゲスト出演した。
仲「『立川談志コレクション』と銘打って、師匠に作っていただいたネタだけやる企画だったので、無理して出て下さいました。洋服のまま立ち高座で、ピンマイクを付けて、得意のアメリカンジョークをやってくれたんです」
菅「ちょっとでよかったのに、受けるんで長くなって、たっぷりやってくれたんだよな。芸人の執念みたいなものを感じたね」
談志が他の芸人の会のゲストに出たのは、それが最後になった。大好きな東京ボーイズの会で本望だったろう。=つづく
(聞き手・吉川潮)