「もう中学生」は有吉弘行の評価で再ブレークした“笑いのスナイパー”
当代随一の実力者である有吉がもう中学生にお墨付きを与えたことで、業界全体で彼を再評価する機運が高まってきた。有吉が出演している「有吉の壁」をはじめとして、お笑い色の強い番組に呼ばれる機会も増えていった。
もう中学生のネタは、一見すると子供向け番組のようなほのぼのとした雰囲気に満ちているが、そんな和やかな空気の奥に潜む彼の言葉選びのセンスには非凡なものがある。着眼点と単語やフレーズの選び方が普通ではないのだ。
もう中学生のような芸人は、与えられた状況に合わせて適切な言葉を考えるのではなく、言いたい言葉が先にあって、それを力いっぱいぶつけていく。そのアプローチの仕方は芸人というよりアーティストに近い。
極端に言うと、確固たる自分の世界が最初にあって、それを表現するための手段としてたまたまお笑いというジャンルを選んでいるだけなのかもしれない。
もう中学生は、明るいキャラクターとかわいらしいイラストや小道具を隠れみのにして、言葉で人の心を射抜く笑いのスナイパーなのだ。 (つづく)