<153>早貴被告の「新宿で看護師の姉と同居」もウソだった
翌晩、居酒屋でマコやんに聞いた。
「なんもナシやって」
「エッ? 何もないって、だって夕食は?」
「そんなのあらへんって。SAでトイレに行っただけや。あいつ横でずっとゲームしとったわ。あのケチな社長でさえ『お疲れさんだったね。これでおいしいモノを食べて下さい』ってお金を握らせてくれたもんやけど、あの女には情というのが皆無やから」
マコやんはアプリコの従業員だから“社長”の早貴被告にあらがうことはしないし、彼女を味方につけておくのが得策と考えていたのだろうが、それは徒労でしかなかった。早貴被告は弁護士の言いなりになり、マコやんや私の助言に耳を貸さなくなったからである。
早貴被告がマコやんを食事に誘ったことは一度もなく、木下さんに対しても同じであった。 (つづく)