「信じられないでしょうが、小遊三師匠は凄く人望がある方なんです(笑)」
2019年、昇太は落語芸術協会の会長に就任した。その経緯を語ってもらおう。
「実は笑点の司会よりもやりたくなかったんです。当時の会長は歌丸師匠で副会長が小遊三師匠でした。読者の皆さんは信じられないでしょうが小遊三師匠は凄く人望がある方なんです(笑)。ただスケベなことを言ってるおじさんじゃない。協会員全員に好かれてて、僕を含めて誰もが、次の会長は師匠だと思ってました。ところが、『俺はやらない』と断られた。
協会理事と事務局が、『1期2年でいいですからお願いします』と頼んでも、『落語協会は市馬が会長になって若返ったんだから、年寄りがやるべきじゃない。昇太がなればいい』と言う。僕だって嫌ですよ。落語以外にやりたいことがたくさんある。お芝居に、テレビドラマに、城めぐりもあります(笑)。実際、当時は落語家になって一番忙しい時期だったんで、『無理ですから』と断りました。
そしたら小遊三師匠が、『俺は体の具合が悪くて、会長なんてできそうにない』と言う。体調のことを言われたら、もう引き受けるしかないでしょ。それで、理事会で承認される際に、『会長として出席しなければいけない行事やイベントに出られないこともあるんで、それを認めてくれるなら引き受けます』と条件を出しました。後で何か言われたくないですから」