ゼレンスキー大統領の「文化外交」手腕 情報戦略のプロが“刮目ポイント”を解説

公開日: 更新日:

 今回のユーロビジョンにロシアは参加していない。侵攻直後にウクライナのオレクサンドル・トカチェンコ文化情報政策大臣らが主導した対ロシア「文化制裁」請願活動等の結果、主催者の欧州放送連合(EBU)がロシア排除を決定したからだ。それ以外にも、著名ロシア人指揮者ワレリー・ゲルギエフ氏がミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者から解任される等、文化芸術の領域でロシア排除が進んでいる。

 こうした動きの背景にあるのは、ウクライナによる巧みな情報戦略だ。ゼレンスキー大統領は、4月3日のグラミー賞式典にビデオメッセージ(写真)を送ったのに続けて、5月17日にはカンヌ映画祭開会式にビデオ通話で登場。チャップリンの名作映画「独裁者」を引き合いに、独裁者に対して声を上げる「新しいチャップリン」が必要だと呼びかけた。

■最先端の広報力を発揮

 これは「文化外交」(パブリック・ディプロマシー)と呼ばれている手法で、エンターテインメントや文化芸術に関する広報活動を通して自国のメッセージを送る外交活動の一つ。開戦当初から積極的な情報発信を続けて国民の士気を保つだけでなく、諸外国の共感を獲得しているゼレンスキー政権は、文化外交の面でも最先端の広報力を発揮している。エンターテインメントの政治利用はプロパガンダに転化する危険性もあるが、ゼレンスキー大統領が放つメッセージから目が離せない。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  2. 2

    人事局付に異動して2週間…中居正広問題の“キーマン”フジテレビ元編成幹部A氏は今どこで何を?

  3. 3

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  4. 4

    中居正広氏&フジテレビ問題で残された疑問…文春記事に登場する「別の男性タレント」は誰なのか?

  5. 5

    TV復帰がなくなった松本人志 “出演休止中”番組の運命は…終了しそうなのは3つか?

  1. 6

    "日枝案件"木村拓哉主演「教場 劇場版」どうなる? 演者もロケ地も難航中でも"鶴の一声"でGo!

  2. 7

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  3. 8

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」

  4. 9

    ビートたけし「俺なんか悪いことばっかりしたけど…」 松本人志&中居正広に語っていた自身の“引き際”

  5. 10

    フジテレビを襲う「女子アナ大流出」の危機…年収減やイメージ悪化でせっせとフリー転身画策

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…