人生でただひとり夢中になった「アイドル・早見優」には何があった?
「すいません事後報告で。早見優さんのYouTubeに出演したのですが、松尾さんの話を勝手にさせていただきました」
困惑を覚えるLINEがスージー鈴木さんから届いた。この1学年上の音楽評論家と出会ったのは昨年だが、2人してファンだった早見優や筒美京平について話すうち、同じ街に住んで同じ大学に通っていた事実まで判明、すっかり気を許す存在となった。ゆえの困惑である。まさか彼女に余計なことを話したのではあるまいな。
そう、早見優こそは人生でただひとり夢中になったアイドルなのだ。ぼくは大河ドラマ「国盗り物語」で濃姫を演じた松坂慶子(当時20歳)に5歳で心奪われてから現在に至るまでずっと、女性には成熟した魅力を求めてきた。だが中3の数カ月だけはデビューしたばかりのハワイ帰りの美少女にのぼせあがった。日焼けした健康的な容姿はもちろんだが、他のどんなアイドルとも違う彼女の佇まいに目を奪われた。
熱病だった。早見優がCMに出演する資生堂やペンタックス(旭光学工業)の福岡支社の住所を電話帳で調べてはアポなし訪問、粘り強く交渉してポスターなどの戦利品を得た。準備中の公式ファンクラブにフライング承知で申し込んだら1桁の会員番号が届いたのには驚いたが、そこまでは親バレせずに済んでいた。