鍋の中でおでんがしゃべる! 新作落語「ぐつぐつ」誕生秘話
<実験落語の会>では、小ゑんも円丈同様に、名作といえる新作を発表している。それは屋台のおでん屋の鍋の中で、おでんがしゃべる「ぐつぐつ」だ。
「実験落語は出演者全員がネタ下ろしというのが絶対条件でした。ところが、前夜になってもネタができない。まさに生みの苦しみです。『いいや、酒飲みに行くか』って、近所の商店街に出ている屋台のおでん屋に行った。そこでおでんがぐつぐつ煮えているのを見て、おでんがしゃべったら面白いのではというアイデアが浮かんだ。何かが降りてきたとしか思えませんね。家に帰って2時間で書き上げました。翌日演じたら大変受けて、今も寄席でやってます」
主人公のイカ巻きと、こんにゃく、はんぺんとの会話が楽しく、噺の合間に、「ぐつぐつ」と肩を揺らせるのが面白い。しかし、当初は寄席で受けなかったという。 (つづく)
(聞き手・吉川潮)