坂本龍一氏はがんとの闘いの中から、命懸けで戦後民主主義の危機に警鐘を鳴らし続けた
坂本龍一氏が亡くなった。まさに巨星墜つ。その活動は世界レベル。音楽だけではなくその存在そのものが人々に大きな影響を与えた。国葬というものがあるなら(あったような気もするが)真にこの人こそふさわしいのではないか。
政治的発言も真摯に鋭く、「原発」「神宮外苑再開発」「コロナ政策」などに抗議の声を上げる姿は頼もしく勇気をもらった。だがそういう発言が凄まじいがんとの闘いの中で命懸けで発せられていたとは不覚にも存じ上げなかった。「苦しい。もう逝かせてくれ」とまで漏らすのは、よほどのことだっただろう。
9.11でアメリカの覇権主義に疑問を持ち「世界は簡単に戦争をする」と気付き、3.11では「日本は民主主義国家なのか、ここは原子力帝国ではないのか」と考えた。原発の劣化、テロの標的になりかねないとして、「時間が経てば経つほど危険性は増す」と訴えた。原発反対の声を上げると坂本龍一氏でさえも仕事が減ったという。
神宮の森の再開発にも抗議した。がんは身体を侵し尽くし、抗議運動の先頭に立つことはできなかった。インタビューには書面で答えていた。