真空ジェシカ・川北のボケが賛否を呼ぶ理由 初期の「ガキ使」を彷彿とさせる
■独特な世界観で万人ウケは難しい?
「アートの卵たち」は、初期の「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」(日本テレビ系)の笑いを彷彿とさせる。例えば「松本VS浜田」シリーズの中で、なぜか収録中に松本人志が爆発してしまうという企画があった(爆発するのは発泡スチロールの人形)。救急車内で応急処置を受けた松本が、焼け焦げて薄くなった頭にボロボロのジャージー姿で登場すると、苦い表情で「ピリピリすんねん」と漏らす。周囲が「やけどもしてるやろうしなぁ」と気遣うと、これに松本は「お腹痛いねん」と返して笑わせ、何度目かのオープニング映像を撮り直そうとしたところで再度爆発するというものだった。
かつて松本人志の芸風は、「現代アートにリンクする」と評されることもあった。既存のフォーマットをパロディー化する、あえて内幕を見せる、特有のリアリズムを提示するなどして、新たな笑いを生み出していったからだろう。
川北からも似たテイストを感じてならない。独特な世界観を持つ笑いは万人ウケこそ難しいかもしれないが、今後も変わらず深く刺さるものを見せて欲しいと切に願う。
(お笑い研究家・鈴木旭)