古今亭志ん朝の教え「大きな噺をやりなさい。細かい笑いがなくても印象に残る」
マスコミの仕事と並行して、落語に精進しようとするこぶ平に、試練を与えたのが春風亭小朝であった。
「『この話はあの師匠に稽古してもらいなさい』と紹介してくれました。たとえば、『星野屋』は小団治師匠とか、『夢の酒』は小満ん師匠、『親子酒』は小はん師匠に、といったあんばいです。ありがたいのですが、『3日で覚えて』とか、『こんど、僕の独演会でやってみて』とむちゃ振りされる。おじけづくと必ず、『あなたならできる』って。無我夢中でやってみると、できたんです」
小朝に鍛えられて成長していったと言える。
もうひとり、影響を与えたのが、古今亭志ん朝(写真)である。
■「親父さんと同じことをやってもダメ」
「月刊誌の<東京人>の対談でお会いしたのが、2001年の夏でした。落語家の息子に生まれた者同士として、たくさんアドバイスしていただきました。『親父(志ん生)と同じことをやっても、かなうわけがない。違うところを攻めようと思って、華のある(桂)文楽、緻密な(林家)彦六の方向を目指した。おまえも親父さんと同じことをやってもダメなんだよ』とおっしゃられたのを覚えてます」