NHK紅白「史上ワースト視聴率」の必然…ダンス合戦と化し、他局の伝説番組持ち出した“なんでもない”歌番組に
識者はこう見た! 今回の紅白
番組史上ワースト視聴率を更新した今回の紅白を専門家たちはどう見たか。メディア文化評論家の碓井広義氏はこう話す。
「確かに全体がK-POPショーに見えてしまいました。まるで岸田内閣がパーティー券の問題で安倍派をパージして新たな大臣を据えたように、ジャニーズに代わる安易な『穴埋め感』は否めませんでした」
TVコラムニストの桧山珠美氏もこう続ける。
「歌合戦というより、“紅白ダンス合戦”という感じでした。ジャニーズが大量に出る以上に中高年は置いてけぼりでしょう。ただ“懐かし枠”でも、鈴木雅之や郷ひろみはもういいのではないでしょうか。黒柳徹子が出てきて『ザ・ベストテン』の話をしながら薬師丸ひろ子や寺尾聰が登場するのはいいですが、そもそも他局だし、だったらベストテンでいいじゃんと(笑)」
今回、2回目の司会となる橋本環奈(24)のソツのなさもあって、進行自体はスムーズだったが、全体のおよそ4割は他のコンサート会場や別スタジオからの中継だった。
「NHKホールに集まった観客はさめていたでしょうね。山内恵介は浅草の商店街で歌わされて気の毒でした。伊藤蘭ちゃんのキャンディーズメドレーも、現場は盛り上がっていましたが、考えてみれば、半世紀前にすでに現在の“推し活”をやっていた元親衛隊のオジサンたちにも時の流れを感じました」(桧山氏)
碓井氏は「全体として熱量が低く、盛り上がりに欠けた紅白でした」としてこう話す。
■まさに「ボーダレス」だが印象は皆無
「一見、バラエティーに富んではいるものの、これといった核になるものがなく、番組のメッセージ性も感じられない。番組のテーマが『ボーダレス』なので“なんでもあり”ということですが、それはすなわち“なんでもない”ということ。中継が多いこともあって、まさにそうした散漫な印象に終わってしまった。確かに、時代と乖離した“男女対抗歌合戦”の色を極力排しており、『年末の大型音楽番組』としては過渡期だと思いますが、歌い手も楽曲の選定もすごく安易なものを感じました」
その熱量の低さが視聴率にもハッキリ表れたというわけだ。