坂田利夫師匠の芸人魂「お客さんの前に出たら(痛みを)忘れとんな。アリナミンが出るんやな」「アドレナリンや!」
楽屋で何人かの芸人さんが出前を取って食べていると、必ず「うまそうやの、一口くでや~!」と笑顔で“おねだり”をされて、卵焼き、唐揚げ、とんかつなどを本当に“一口”ずつもらって「やっぱり、タダのモンはウマい!」。「師匠、自分で(出前を)頼みなはれ!」とツッコまれると「ぎょうさんいらんねや~“一口”がええねや。ごちそうさん、みなさんありがとさ~ん!」とやはりひと笑いをとって、ご自分の楽屋に戻られておられました。
そんな優しいかわいい坂田師匠の舞台での芸人魂はすさまじいものがありました。70代に入られてからだったと記憶していますが、足を骨折されて数カ月入院・リハビリを経て復帰された時に、「年とったらなかなか治らんわ」と苦笑しながら、コントで舞台に出ると足を引きずりながら「足骨折しましたんや、みなさんも気つけなはれや」と言いながら早い移動は共演の若手たちに抱えられていましたが、降ろされた瞬間に小走りで動かれ、「走っとるやないか!」とツッコまれて大爆笑!
コントが終わり「(走られて)大丈夫ですか?」と伺うと「お客さんの前に出たら(痛みを)忘れとんな。アリナミンが出るんやな」「アドレナリンや!」と周囲からいっせいにツッコまれ、これまた大爆笑。
どんな時もボケることを考えてまわりを笑顔にされていた坂田師匠。本当にお疲れさまでした! 敬意と感謝を込めて「あ~りがとさ~ん!」。ご冥福をお祈りします。