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ラリー遠田お笑い評論家

1979年、愛知県名古屋市生まれ。東大文学部卒。テレビ番組制作会社勤務を経てフリーライターに。現在は、お笑い評論家として取材、執筆、イベント主催、メディア出演。近著に「お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで」(光文社新書)などがある。

令和ロマンは芸歴6年目 異例のスピードでM-1を制した規格外の存在

公開日: 更新日:

 しかも、くじ引きで1番手に選ばれた彼らは「1番手では勝てない」と早々に勝負を捨てた。そこで、自分たちの勝敗を度外視して、客席を盛り上げてあとから出てくる芸人がやりやすい空気をつくろうとした。

 そのためのネタ選びが功を奏して、彼らの漫才で大爆笑が起こり、結果的には最終決戦に駒を進めることになった。

 2本目の漫才は、1本目と違ってコント仕立てのものだった。1本目と同様にツカミを丁寧にして観客を引き込み、毛色の違うネタで再びうねるような笑いを起こした。

 しかも、無個性なネタの味付けのために加えた「個性的な吉本社員」を演じるくだりが見事にはまり、それも優勝の決め手のひとつになったように見えた。

 優勝後の記者会見でも、けろっとした表情でどこか他人事のように戦いを冷静に振り返っているのが印象的だった。

 血と汗と涙ではなく、お笑いへの純粋な興味や好奇心と戦略でつかんだ勝利。令和ロマンは新感覚の漫才チャンピオンとして、これからのお笑い界を牽引する存在になるだろう。 =つづく

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