「あの」はサブカル枠にとどまらず独特の違和感で番組の空気を変える“切り札”的存在
小田急線・登戸駅前の空き地に、閉園になった向ケ丘遊園が近くにあったことにちなんでメリーゴーラウンドを運んで設置するという「非日常のにぎわい」をテーマにしたイベントに遭遇したことがあるが、ライトアップされた回転木馬が回る幻想的な姿を見ていて、あのちゃんの世界観が頭に浮かんできた。
彼女は、テレビの世界にボディーブローをきかせて、「非日常」を持ち込む存在だ。
親しみやすいタレントが人気を集め、コンプライアンスもあってなかなかバラエティー番組に大胆な非日常空間をつくるのが難しくなっている中で、ユニークで不思議な彼女は、すてきな違和感として番組の空気を変える切り札となっている。
初期にはサブカルチャー好きな人たちの間で支持され、カルチャー雑誌「クイック・ジャパン」で特集が組まれた。だが、彼女はサブカル系の枠にとどまらず、もっと広い世界に飛び出した。サブカルのイメージで“消費”されることなく、コアな支持に限定されない人気者になったという点では、ももいろクローバーZに通じるものがある。
あのは、タイムマシンに乗って令和にやって来たかのような女の子だ。未来から来たかもしれないし、ひょっとすると過去から来たのかもしれない……と思わせる新しさと懐かしさの両方を秘めているからこそ、幅広い年代で人気を集めているのだろう。