麒麟・田村裕さん「ホームレス中学生」の印税1億円は全部使ったと明かす…バスケ芸人で食いつなぐ日々

公開日: 更新日:

「今年はパリ五輪でバスケットが最高に盛り上がった」

 今は月に1回、大阪で大人のバスケットボール教室「オトバス」を開催しています。初級、中級など12クラスあってバスケをやりたい大人の男女が触れ合う場になっています。収入的にはあまり大きなことは言えないけど、メインのコーチの生活ができるくらいには頑張りたい。そのためにウエアと普段着も作って売ってるんですよ。

 バスケでは奥さんに苦労をかけました。子供がちっちゃくてまだ忙しかった時に、僕が明日は休みやというのに、地方にバスケの試合を見に行くことが多くて。奥さんとしては僕は家にずっとおれへんし、休みの日ぐらい手伝ってもらって息抜きしたいと思っていたのに、広島までインターハイを見に行くとか、栃木までBリーグを見に出かけてしまう。そんな時は頭下げて行かしてもらってました。

 でも、そのおかげで現地で生観戦できた。映像で見ただけなのと生観戦ではその温度感は全然違いますからね。生で見てた分、深くしゃべれます。見に行っててよかったと思います。

 今年はパリ五輪でバスケットが最高に盛り上がった。こんだけバスケが好きで発信もしているので、もしかしたらテレビの仕事が入るかなと期待して、スケジュールを押さえていたけど、一個も入らなかった。全部、自宅で観戦する悲しい結末になりました(笑)。

 本業のお笑いも頑張りたいですね。やはりお笑いが好きです。コントはやらへんのに、ずっと設定を考えたりしている。街を歩いていてこの瞬間を切り取ったらコントになるかなとか。そんなふうに考えているだけで楽しい。

 大阪で「よ~いドン!」という情報番組に出さしてもらい、最近は忙しくしてるんですよ。そうなったら自分のベースってなんやろなと考えるようになって。まずはお笑いやな。でも、ネタのことは全部、相方に任せて僕は何もしてきていないじゃないか、ちょっと自分でもネタと向き合いたいなと思うようになりまして。2年前から年1回だけど、ピンネタライブを始めました。

 作家さんの力は借りるけど、一緒にこんな設定でこうボケを入れてとか話し合いながら、今年は2回目をやりました。芸人として何を残すか、自分の中で確固たるものをつくれないか……。その作業はめっちゃしんどい。今すぐでもやめたいけど、続けていくことで何かが生まれるかもという夢を見ながらやってます。まだ100人に満たないキャパでやってるけど、ゆくゆく百人、何千人、何万人が集まるようになったらうれしいですね。

 インスタライブもメッチャやっています。毎日1、2回はやるからお客さんとの距離がグッと近くなりました。

 川島君とのコンビの仕事も大事にしたいなと思っています。ここまで四半世紀一緒にやってきて、もし解散して次に誰かとやるかと言われてもやらへんやろし、僕の人生においてパートナーは川島君しかおれへん。お互いがせっかくいい関係を継続できているから、最大限に満喫して遊んでやろうと思っています。川島君は売れすぎて何を考えているかわからないし、今は話す機会もないし、最低限のショートメールでやりとりするくらいですけどね。

 以前は川島君を羨むこともありました。やっかんで意固地になって、交わりたくないと思った時期もあった。でも、いろんな人のアドバイスをもらい、それはあかんなと思って開き直ったら物事が好転し、アッという間に環境が変わった。どんな理由があっても意固地になるのはよくない。すべて受け止めて前に進まないと。

 それからは一人でロケに行って困ったら、「川島、助けてくれ!」なんて言うようになって。周囲もイジりやすくなったみたいで空気感が変わりました。僕が発する言葉も変わったみたいで、2年間インスタライブに投稿し続けたこともこの本につながりました。意固地になっていたら、そもそも今回の本の話もなかったと思います。

 今度の「ホームレスパパ」では子供のことを最初に書いています。教育的なプランというほどのものはなくて、子供には極力やりたいことを実現させてあげたいと思っています。ありがたいことに、子育ての話や夫婦の話をうちの旦那にも読んでもらい、夫婦で共感したと言ってくださる方も多い。夫婦のコミュニケーションが増えたと言ってくれる人もいる。それもこの本を書いた狙いの一つだったから、「ヨッシャ!」ですね。奥さんは「私、こんなこと言った?」なんて嫌がってますけどね(笑)。

 娘2人は前の本が2億円動いて1億円儲かったことを知っています。今回はこの本と「ホームレス中学生」の新装版と2冊出したので4億円入ると思っている。「毎回そんなに売れへんよ」と言ったけど、「そんなことない、絶対売れる」と信じているらしい。最近メッチャ言うこと、きくんですよ。でも、期待していたのに、生活がまったく変わっていかへんとなったら……。とんでもない反動がくるのが今から怖いですわ(笑)。

(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ)

▽田村裕(たむら・ひろし) 1979年9月、大阪府出身。NSC20期生。99年に川島明とコンビ・麒麟結成。07年に極貧の子供時代を書いた「ホームレス中学生」がミリオンセラーに。11年に結婚、女2人男1人の3児の父親。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 2

    阪神・藤川監督が酔っぱらって口を衝いた打倒巨人「怪気炎」→掲載自粛要請で幻に

  3. 3

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された

  4. 4

    阪神・西勇輝いよいよ崖っぷち…ベテランの矜持すら見せられず大炎上に藤川監督は強権発動

  5. 5

    中森明菜が小室哲哉、ASKAと急接近! “名曲製造機”との邂逅で「第2の黄金期」到来に期待

  1. 6

    「色気やばい」山﨑賢人のタバコ姿が大反響 韓国で路上喫煙の宮根誠司との反応に“雲泥の差”

  2. 7

    巨人・小林誠司に“再婚相手”見つかった? 阿部監督が思い描く「田中将大復活」への青写真

  3. 8

    中野サンプラザ、TOC、北とぴあ…都内で建て替え計画が相次ぎ頓挫する理由

  4. 9

    岩井明愛・千怜姉妹が大ピンチ!米ツアーいまだポイントゼロで「リシャッフル」まで残り5試合

  5. 10

    演技とイケオジぶりで再ブレーク草彅剛と「10億円マンション売却説」中居正広氏との“絆”