香取慎吾の類いまれな瞬発力は、カメラを向けられ続けたことで養われた
あまりに怖くて山本は、何かがあったときのために、香取のセリフも「こっそり入れて」本番に臨んだという。だが「本番になったら、こっちはドッキドキでしたけどパーフェクト」(フジテレビ系「おじゃMAP!!」25年1月4日)だった。
香取は「役づくり」も「よくわからない」という。その代わり「どんなシーンかを説明すると、一瞬で理解する」(ムービーウォーカー「MOVIE WALKER PRESS」(19年6月30日)と、映画「凪待ち」(配給・キノフィルムズ)を監督した白石和彌は舌を巻く。「カメラと、被写体である自分の関係性を、僕がいままで仕事をしたどの方よりもわかっている」と。それは、アイドルとしてドラマ・映画だけでなく、ステージやバラエティー番組でも常にカメラを向けられてきたからに違いない。
特に香取は「コントが好き」(フジテレビ系「新しいカギ 新春スペシャル」25年1月4日)だという。「SMAP×SMAP」(フジテレビ系)の「ビストロSMAP」内で披露していたミニコントは、ADが持ち回りで担当し、香取が一緒になって考えて作っていたという。面白いと思うゲストが来れば、すぐにパロディーにしてコントにした。
だから「その場で覚えるのはコントやってたから」(同前)だというのだ。「コントがあったから、ドラマ・映画のお芝居もできてる。そこにいろんなものが詰まってた」と。香取の演技の根底にはコントがあったのだ。