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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

「一球入魂」の精神 どんな無茶ブリにも答え続ける田中要次の存在感

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 そのときに出会ったのが、ファンだった映画監督の山川直人だ。彼が監督するミュージックビデオに起用され、「シンデレラが舞踏会に連れて行ってもらったような気分でした。楽しかったので、もう一回、撮影現場に参加したいという気持ちが強まった」(「毎日新聞夕刊」2020年5月15日付)という。

 悩んだ末、会社を辞めて上京すると、まず照明助手として映画の世界に飛び込んだ。このとき、参加したのが竹中直人監督の「無能の人」(松竹.91年製作)だ。竹中の代わりにカメラテストでカメラの前に立つと、それを見た竹中が「面白い顔をしてるな」とエキストラに抜擢。その後もスタッフと役者を兼業していた田中は、やはり竹中が監督した映画「119」(松竹.94年製作)への出演を機に、俳優一本で生きていくことを決めたのだ。

「HERO」でブレーク後は映画・ドラマのみならず、バラエティー番組にも多数出演。元国鉄職員という経歴から「タモリ倶楽部」(テレビ朝日系)の「タモリ電車クラブ」の会員にもなり、「プレバト!!」(TBS系)では消しゴムハンコなどで才能を見せ、猫好きとしても有名だ。極めつきは、テレビ東京系を代表する番組「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」シリーズ。あの太川陽介&蛭子能収の後任に、羽田圭介と共に抜擢されたのだ。

 まさにそれは、どんなムチャ振りにも「あるよ」と答え続けたあのバーテンダーのよう。苦労人だからこその豊富な人生経験と一球入魂の精神で、田中要次は存在感を放ち続けている。

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