うつ病で自殺した43歳のプリンス桂三木助
救急車が来る。その時点でまだ心電図には反応があった。家族は生還を期待した。だが、手当ての甲斐もなく午後2時5分に死亡が確認された。首吊りを行った時刻は午前6時ごろと推定された。
三木助は3代目桂三木助の長男。立教大学在学中の77年、柳家小さんに弟子入りした。ディスコに通い、寄席に外車で乗りつける前代未聞の前座として知られた。毛並みの良さと有名大学出身ということから「落語界のシティーボーイ」といわれ、春風亭小朝と次世代のホープと評された。28歳の85年に26人抜きで真打ちに昇進した。
ここまでは順風満帆に見えたが、93年に重度の胃潰瘍のため、胃の4分の3を摘出する手術を受ける。この頃から体力の衰えを感じ、風邪をこじらせ、肺炎に襲われたり滑舌も悪くなって「高座でタンカが切れない」と悩んでいたという。さらに、2000年には友人にだまされ、商工ローンの保証人になり、1000万円以上の負債を抱えてふさぎ込んだ。
三木助は酒と睡眠薬に頼らないと眠れなくなっていた。毎晩、ビールを3リットルほどがぶ飲みした上に、睡眠薬を飲みやっと寝つく日々。体調もさらに悪化し、00年9月には腸閉塞で手術を受ける。