満面の笑みで自己紹介「わたくし、村西とおると申します」
野田義治の回想。
「とっつぁん(野田は村西とおるを親しみを込めてこう呼ぶ)とは、何で会ったかというと、おれが野村誠一と仲がいいから、斉藤慶子を野村誠一が撮ったというので、村西のとっつぁんに会いに行ったんだ。アイドルの何パターンかのビデオを出さないか、と交渉しに行った。それがきっかけで行ったから。最初の印象? 何だ、このおっさん(笑い)。もうはったりの塊みたいだったから。こういうキャラクターなんだっていうのは、しばらくしないとわかんないですよね」
村西とおる監督の右腕とも呼ばれた元部下の日比野正明監督(現在セルビデオメーカーの最大手SOD会長)の回想。
「野田さんは“堀江しのぶのビデオを売り込みに来たおじさん”というイメージでしたね」
野田義治は勢いのある村西とおるのもとに蝟集した海千山千の男たちのひとりに過ぎなかった。それが運命共同体のような間柄になるとは、お互いまだ露ほども予想しなかった。 (あすにつづく)
▽のだ・よしはる 1946年、富山県生まれ。渡辺プロ系列のプロダクションで夏木マリ、いしだあゆみらのマネジャーを担当。80年にイエローキャブ設立。故・堀江しのぶ、かとうれいこ、細川ふみえ、山田まりや、佐藤江梨子、小池栄子、MEGUMIらを発掘し「巨乳軍団」の名物社長として知られる。04年に同社社長を辞任。現在はサンズエンタテインメント会長。