著者のコラム一覧
本橋信宏作家

1956年、埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。バブル焼け跡派と自称。執筆はノンフィクション・小説・エッセー・評論まで幅広い。“東京の異界シリーズ”第5弾「高田馬場アンダーグラウンド」(駒草出版)発売中。「全裸監督 村西とおる伝」(新潮文庫)が、山田孝之主演でNetflixから世界190カ国同時配信決定。

返品された雑誌のアンケートはがきに自分で「堀江しのぶ」

公開日: 更新日:

 零細プロダクションだったイエローキャブ代表・野田義治は大手プロダクションと互角に戦うために知略を巡らせた。

 堀江しのぶしかいない弱小プロダクションだから、カネがかからない戦いでなければならない。正規戦ではなくゲリラ戦を! 編集者たちに堀江しのぶ人気の凄さを思い知らせる作戦を考えてみた。

 ある日、駅の売店できょう発売の週刊誌をチェックした。

 昔から雑誌好きで本の匂いが好きだった野田義治は若いころ雑誌の取次店でアルバイトをしていた。雑誌や新聞は、発行元から店頭に並ぶ途中、取次店という流通業者によって全国に配送されていく。取次業は雨の日も風の日も雪の日も嵐の日も全国津々浦々の書店、キオスクに雑誌・新聞を運び、一律の定価で全国ほぼ発売日同日に購入できる、日本人の知的レベルを高度に保つ縁の下の支えである。

 野田はその取次店でアルバイトしていたことを雑誌の匂いとともに思い出した。

「売店から売れ残った雑誌、新聞が戻ってくる。返品になったら新聞何部、雑誌何部って昔はロープでこうやって(縛る真似)梱包してたの。その後裁断されるんだけど、毎日毎日、そういう仕事やってたんですよ。返品の雑誌にアンケート用はがきがとじこみであるんですよ。堀江しのぶが載った号のアンケート用紙それを全部破って、今週号で一番よかった記事、という項目にうちの堀江しのぶの名前を書いて投函したんです」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    俳優・山口馬木也さん「藤田まことさんは『飲め、飲め』と息子のようにかわいがってくれた」

  2. 2

    前代未聞の壮絶不倫・当事者のひとりがまたも“謎の欠場”…関係者が語った「心配な変化」とは???

  3. 3

    テレ朝ナスD“経費横領&パワハラ処分”に「見せしめ」の声も…家族団らん投稿の美人料理家妻に同情集まる

  4. 4

    自信なくされたら困るから? 巨人・田中将大がカブス戦登板「緊急回避」の裏側

  5. 5

    東原亜希の“黒帯バスローブ密会”乗り越えた「許す力」は佐々木希以上? 経済的自立も目指す強心臓とたくましさ

  1. 6

    料理研究家の森崎友紀 “本業”専念も恋愛は「年も年なので」

  2. 7

    兵庫県パワハラ知事に残った選択肢は「議会解散」のみ…多数派工作で延命図るか?味方は“情報漏洩3人組”のみ

  3. 8

    あす旧統一教会に解散命令か? N国党に急接近の不気味、タダでは転ばない悪あがき

  4. 9

    巨人の“アキレス腱”は絶対的セットアッパーが使えないこと…新助っ人キャベッジで外国人枠「満員」

  5. 10

    佐々木希が「芸能人格付けチェック」で"地雷キャラ"といじられ…夫・渡部建を捨てないもう1つの理由