返品された雑誌のアンケートはがきに自分で「堀江しのぶ」
零細プロダクションだったイエローキャブ代表・野田義治は大手プロダクションと互角に戦うために知略を巡らせた。
堀江しのぶしかいない弱小プロダクションだから、カネがかからない戦いでなければならない。正規戦ではなくゲリラ戦を! 編集者たちに堀江しのぶ人気の凄さを思い知らせる作戦を考えてみた。
ある日、駅の売店できょう発売の週刊誌をチェックした。
昔から雑誌好きで本の匂いが好きだった野田義治は若いころ雑誌の取次店でアルバイトをしていた。雑誌や新聞は、発行元から店頭に並ぶ途中、取次店という流通業者によって全国に配送されていく。取次業は雨の日も風の日も雪の日も嵐の日も全国津々浦々の書店、キオスクに雑誌・新聞を運び、一律の定価で全国ほぼ発売日同日に購入できる、日本人の知的レベルを高度に保つ縁の下の支えである。
野田はその取次店でアルバイトしていたことを雑誌の匂いとともに思い出した。
「売店から売れ残った雑誌、新聞が戻ってくる。返品になったら新聞何部、雑誌何部って昔はロープでこうやって(縛る真似)梱包してたの。その後裁断されるんだけど、毎日毎日、そういう仕事やってたんですよ。返品の雑誌にアンケート用はがきがとじこみであるんですよ。堀江しのぶが載った号のアンケート用紙それを全部破って、今週号で一番よかった記事、という項目にうちの堀江しのぶの名前を書いて投函したんです」