筆者は80年に渋谷の名画座で本作を見た。ぶら下がった照明器具の絵でM・ブランドのズボンを隠す加工処理をしていたため、隣の席の白人が呆れ声で笑っていた。日本人として恥ずかしかった。後年、無修正版BDでマリアの股間の剛毛を見てビックリした。
終盤のホール場面でジャンヌが泣きながら手コキするのがポイント。愛情と拒絶が入り乱れた女性心理の不思議さがいかにもヨーロッパ映画らしい。見る人によって幾通りもの解釈ができる作品だ。
というわけで本欄は今回で終了です。長らくのご愛読に感謝。「日刊ゲンダイDIGITAL」での連載は続けるので、今後ともよろしく哀愁!
(森田健司)