患者は納得しても治療しないことに不安を感じる家族もいる
■担当医は良い状態が続いて欲しいと思っている
ここで、Aさんは急に奥さんを制したそうです。
「先生の言う通り薬をやめて、少し様子を見よう。具合が悪くなっても診て下さるといっているのだから。薬を飲みたい時は、また先生に言うから。ほら、先生困ってるよ。先生を困らせたらダメだ」
この言葉で奥さんは黙りました。そして結局、内服抗がん剤をやめて様子を見ることになったのです。
1カ月後、診察を受けたAさんは担当医にこう告げました。
「先生に黙っているのは悪いので話しますが、○○サプリメントを飲んでいます。友達が、がんに効くと言うのです」
担当医は「サプリメントはあくまで健康食品で、がんに効くという科学的根拠はありませんよ」とだけ答えました。そして、それを勧めるともやめるようにとも話しませんでした。
治療法がなくなり、無治療となっても、「医師が悪くなっても診てくれる」とのことで患者は納得しています。しかし、家族は治療を何もしていないことに不安を感じているのです。