能登半島地震の映像でつらい記憶が…「震災フラッシュバック」気持ちを軽くする周りのサポート
スマホやPCは使い方を制限する
傾聴とともに重要なのが、震災報道との距離感。
「両親や妻、子供などがフラッシュバックで沈んでいるときは、被災地の映像をなるべく見せないようにすることも重要です。テレビ番組で悲惨な状況が映し出されたらそれとなく番組を替えるのも、そのひとつ。もうひとつはスマホの使い方で、特にPTSDの人のSNSの使用は要注意です。情報の入手は行政機関や報道機関など信頼できるチャンネルに限定することです。フェイクニュースや心ない投稿に心を惑わされるのはよくないので、電話やメッセージの応答や仕事など必要時以外、スマホを使わせないことも重要な対策になります」
パソコンでの検索も、スマホと同様に信頼できるソースに限る。沈んでいる人が無用なネットサーフィンでさらに気持ちを落ち込ませないように注意したい。
■緊急地震速報などはあえて通知オフに
フラッシュバックのキッカケは、映像のみではない。
東日本大震災の後は、大地震のたびに緊急地震速報のアラームが鳴るように。これとダブるのが全国瞬時警報システム(Jアラート)で、北朝鮮がミサイルなどを発射すると、Jアラートが発動して、スマホの大音量に驚くことがある。また、ウクライナやイスラエル・ガザ地区などのがれき映像も、被災地を想起させる。こうした警報音や戦争映像がキッカケとなって体調を崩すこともあるという。
「高齢者のそばでサポートする家族が常にいるようなケースでは、サポーターの携帯アラーム通知のみをオンにして、高齢者のアラーム通知はあえてオフにしておくのもよいと思います」
手元でスマホやパソコンをいじっていると、知らず知らずのうちに震災情報に触れて、気持ちを乱す恐れが高い。そうならないように、つらい人なりに日常生活を送れるようにする気配りが重要だという。
「食欲があまりなくてもみんなで食卓を囲んだり、できる範囲で仕事をしたり。散歩に出るのもベターです」
それでもフラッシュバックのつらさが改善されなければ、医療機関を受診するのが無難だ。
「不眠や食欲不振などが2週間以上続くと、精神科や心療内科を受診することをお勧めします」
この震災で親や妻、子供がつらそうにしていたら、まずは心の澱を吐き出せるように彼らの話に耳を傾けることから始めてはどうか。