洋食レストランの洗い場はまるでチャップリンの「モダン・タイムス」だった
最初は洗い場の先輩やコックに所定位置を聞いていたが、いつまでも他人に頼るわけにはいかないので必死で覚える。
皿を洗い、タオルで水気を拭き取ってから棚に戻す。コックやウエーター、ウエートレスで混雑する中を往復し、背伸びしたりしゃがんだりを繰り返す。これはいい運動になる。忙しいときはあっという間に時間が過ぎる。
ただそんな中、60代のバイト男性がグラスを洗い、ウエートレスの若い女性から「きちんと洗えていない」と注意されるのを目撃した。「何度言ったらわかるんですか!」と叱責される彼の姿を見て、あちこちの面接で言われた「60代のバイトはプライドがズタズタになる」という言葉が脳裏に蘇った。
その後、男性は店を辞めていった。「家庭の都合で」という話だが、文句を言われてメンタルをやられたのではないかと思うのだ。 =つづく
(林山翔平)