「熱海」の夜はまるでゴーストタウン…名ばかり“V字回復”に地元民は複雑心境
「熱海の人気がV字回復したって? そんなもんにだまされちゃいかんよ……」
こう嘆声を漏らすのは、静岡県熱海市内を走る60代のタクシードライバーだ。バブル崩壊後の衰退から一転、再び活況に沸く観光地として注目されている「熱海」。市は今年5月、昨年度の宿泊者数が約297万人に上り、コロナ前の約9割まで回復したと発表。都心部からの交通の利便性に加え、ご当地スイーツ店の出店や、年間を通して10回以上開催される「熱海海上花火大会」が呼び水となり、近年は若者の観光客が殺到しているという。なかでも熱海ブームの火付け役とされるのが「熱海プリン」だ。
「絶妙な食感と、昭和レトロな牛乳瓶の容器が、どうやらZ世代にヒットしたようです。連日、商店街はプリンを買い求める若者であふれている。今や熱海の顔と言っても過言ではありません」(地元住民)
記者が訪れた8月末は、夏休み期間中ということもあってか駅前の「平和通り商店街」は、10~20代前半とおぼしき若者の姿でごった返していた。散歩がてら駅から少し離れた「銀座商店街」に向かうと、午後6時前にもかかわらず店の明かりは徐々に消え始め、一瞬にしてシャッター街へと様変わり。日中の喧騒が嘘だったと言わんばかりに静まり返った。