大船渡市立図書館(岩手県)三陸の名所をモチーフにしたコンクリートの「要塞」の中の温かい空間
岩手県の東側、太平洋沿いに「穴通磯」と呼ばれる景勝地がある。
海水の浸食によって3つの穴が開いた巨大な岩のことで、国立公園「碁石海岸」を代表する名所になっている。
その「穴通磯」をモチーフに建てられた大船渡市民文化会館との複合施設「リアスホール」の中にあるのが大船渡市立図書館だ。
リアス式海岸や三陸の海をイメージしたコンクリートの打ちっ放しの建物は、まるで要塞か城壁のよう。外観はいかついイメージながら、図書館の中は雰囲気が百八十度異なる。
業務責任者の中井佳織さんがこう言う。
「図書館は木のぬくもりが感じられるようになっています。床はダークブラウンのフローリング。書架や机席も木製で、温かく落ち着いた雰囲気です。さまざまな場所に本を閲覧できるイスやソファ、それに個別のテーブルもあり、合わせて130席ほど。青色のソファは三陸の海をイメージしています」
主な書架は2階から中2階にかけて、四角いスペースの周囲を囲んでいる通路の両側にある。
「本は日本十進分類法に基づき、ジャンルごとに順番に並べていますので、一周していただくとすべての分野を網羅することになります」(総括責任者の原田哉さん)