「流されゆく日々」12000回〈続〉能登から届いた読者からの手紙
<12月、冬に向かい仮設住宅では高齢者の孤独死が増加しています。現在私は、月に一度町会議員やドクターと共に穴水町の全仮設住宅を訪問し、町情報誌を配布しながら、健康状態をお聞きし傾聴活動に取り組んでいます。ただ、地震の1年を生き抜きながら、五木先生の言われる「生きている」実感があります。元旦、スマホの「ブーブー」という不気味な地震警報とテレビ・ラジオアナウンサーの「逃げてください」の絶叫が今でも心に残る大津波警報。1週間の車中生活や近所の隣人との助け合い。突然の震度6の余震に怯える毎日。外地からの引き上げ時に五木先生が感じた「今、生きている実感」とは、この様なものかとも思います。不思議ですが、確かに生きている実感を感じながら1年が過ぎようとしています>
編集部ではすぐに、この手紙を五木さんにお届けした。そうしたら、五木さんから電話があった。
「あのお手紙はすごく感動的でした。能登の話が出てくるし、文章も誠実で、つくづく、1万2000回も続けてきてよかったと思いました。実は家内の父親のルーツが七尾なんです。それで能登のことはとても気になってもいたんです」