インフルエンザの猛威を振り切る「2つの知恵」…感染者数は統計史上最多も肝心の薬は不足

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重症化予防のカギ、今からでもワクチン接種

 インフルエンザは、38度以上の高熱に加え、鼻水やくしゃみなどの一般的な風邪症状、そして頭痛や関節の痛みなどを伴う。厄介な症状だが、元気な成人は感染しても、1週間ほどでウイルスが排出されて熱も下がる。問題は、重症化した場合だ。

「インフルエンザが重症化すると、肺炎や脳症を起こすことがあります。そのリスクが高いのは小児と高齢者です。特に10歳未満の小児に発症しやすい脳症は致死率が高い上、一命を取り留めても後遺症が残るリスクもあります。これらを発症したらすぐに医療機関を受診するのが鉄則ですが、未然に防ぐのが一番。そのためにはワクチン接種なのです。ワクチン接種の目的は、発症を抑えることではなく、重症化予防にあります」

 国内で高齢者施設に入所する65歳以上を対象に調べたところ、インフルエンザの発症を抑える効果は34~55%で、死亡を回避できた割合は82%だった。発病を防ぐ効果はそれほど高くないが、重症化予防には効果的だろう。小児を対象とした2015-16年シーズンの研究では、ワクチンの有効率は約6割と報告されている。

 ところが、ワクチンはインフルエンザ発症を100%抑えるものではないことから、“接種してもムダ”と誤解する人も少なくない。気象情報サイトのウェザーニュースが昨年、インフルエンザワクチンについて調査した結果、「接種済み・接種予定」は36%で、「接種予定なし」が半数近い48%だった。

 ちょっと古いが、埼玉県立大保健医療福祉学部名誉教授の三浦宜彦氏は09年、インフルエンザワクチンの接種状況を年齢別や都道府県別に詳しく調査。それによると、全体ではわずか32.6%だった。年代別に見ると、1歳未満(6.8%)と6~13歳(39.9%)、13~65歳(24.1%)が低く、1~6歳(54.7%)と65歳以上(51.3%)は半数を超えた。それでも比較的接種が進んだ年代でさえ、せいぜい5割程度だから、重症化予防としては心もとないデータだ。

「小児や高齢者など重症化リスクが高いのにワクチンを接種していない人は、今からでも接種すべきです。現役世代でも呼吸器や循環器をはじめ持病のある人、免疫抑制状態の人なども接種すべきでしょう」

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