宮田律
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宮田律現代イスラム研究センター理事長

1955年、山梨県甲府市生まれ。83年、慶應義塾大学大学院文学研究科史学専攻修了。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院修士課程修了。専門は現代イスラム政治、イラン政治史。「イラン~世界の火薬庫」(光文社新書)、「物語 イランの歴史」(中公新書)、「イラン革命防衛隊」(武田ランダムハウスジャパン)などの著書がある。近著に「黒い同盟 米国、サウジアラビア、イスラエル: 「反イラン枢軸」の暗部」(平凡社新書)。

カルロス・ゴーン氏に迫るフランス当局の"包囲網" ヒズボラとイスラエル間で高まる緊張が影響

公開日: 更新日:

 レバノンでは80%の人々がハマスによる10月7日の奇襲攻撃を支持し、また32%の人々がヒズボラのイスラエルへの姿勢は手ぬるいと感じている(『アル・アフバル』紙の世論調査)。パレスチナ問題におけるイスラエルやアメリカによる「不正義」はアラブ諸国の人々に広く共有されていることは疑いがない。

 不正義への怒りが多くのレバノン人の間で共有される中で、不正を働いたとされる人物への同情や共感が集まるとは考えにくい。世論の多くがゴーン元会長への正当な法的な裁きを望んでいることは明らかだろう。レバノンでは2019年に金融システムが崩壊し、外貨準備が枯渇、現地通貨が暴落して国民の貧困が深刻になった。そのような中で不正な手段で蓄財したと考えられいるゴーン元会長に対する同情が集まるはずがない。レバノン国内でゴーン元会長の裁判を行い、有罪になった場合は、国際受刑者移送という形で海外へ身柄引き渡しを行うこともあり得る。レバノン政府に身柄引き渡しを迫る、フランス司法当局による"包囲網"が迫りつつあると考えるべきだろう。

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