新NISAを始めたけれど停滞ムードで不安…「株価4万円」はいつ回復する?

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急ブレーキの理由は「企業のふがいなさ」

 なぜ株価上昇に急ブレーキがかかったのか。円安や日米金利差、自民党の裏金問題……悪材料はいくつもあるが、最大要因は“上場企業のふがいなさ”だ。何より、今期(2025年3月期)見通しがしょぼい。

「株式市場は未来を予測しながら動きます。だから、業績は実績ではなく見通しが重要です。決算発表で前期は過去最高益だったとのニュースが大々的に流れても株価材料にはほぼなりません。それより今期や来期の予想が大切なんです」(前出の市場関係者)

 5月上旬に24年3月期決算を発表したトヨタ自動車。営業利益が日本企業として初の5兆円を突破するなどすこぶる好調だった。ところが、今期(25年3月期)の業績予想は営業利益が約20%減の4兆3000億円。「え~っ、今期は増えないのか……」と市場は落胆し、決算発表の翌日以降、株価は下落傾向となった。

「減益予想はトヨタだけではありません。プライム市場の製造業に限ると4%減益の見通しです。これが株価上昇に水を差した。製造業は現状より円高を想定して決算予想をはじいています。その影響が大きいでしょう。ただ、市場はガッカリした。想像していたより企業業績は悪い。それが株価低迷のひとつの要因です」(証券アナリスト)

■秋口に4万5000円も

 ドル円相場は1ドル=156~157円近辺で推移している。大手企業の想定レートはどうか。

「トヨタや村田製作所、三菱重工は145円、日立製作所やコマツは140円、ファナックは135円と現状より円高想定です。業績予想が低く抑えられているのはそのためでしょう。しかし、それだけではないと思います。もっと別な理由があって企業は決算予想を低く見積もっている可能性があります」(経済評論家・杉村富生氏)

 株価再浮上のカギはどうやらこのあたりにありそうだ。

 なぜ企業は好決算予想を避けるのか--。

「これ以上の賃上げを阻止したいのかもしれません。連合によると24年春闘は5%を超す賃上げが実現しました。ただ、一方で実質賃金は直近統計の3月分まで24カ月連続で前年を下回っています。業績が絶好調ならもっと賃金を上げられるのではないか。そんな声が渦巻きかねません」(前出の証券アナリスト)

 それだけじゃない。杉村富生氏が指摘する。

「仕入れ価格の交渉が関係していると思います。原材料などの高騰により、さまざまな分野で仕入れ価格の値上げ交渉が盛んです。仕入れる側は、できるだけ値上げ交渉に応じたくない。だから“過去最高の決算”のような絶好調さは強調したくないはずです。控えめな業績予想が続出している理由かもしれません」

 とはいえ、円安傾向が長引けば企業も態度を変えざるを得ない。それが夏ごろに起きるという。業績の上方修正ラッシュだ。

「今期の第1四半期決算(4~6月)が公表される7月から8月にかけて上方修正に踏み切る会社が増えるとにらんでいます。そうなると株価は一気に上昇していくでしょう。日経平均は4万円を超え、秋口には4万5000円が視野に入ってくるかもしれません」(倉多慎之助氏)

 大手証券会社も強気だ。野村証券は5月28日に「24年末の日経平均株価は4万円との予想を維持」というリポートを出した。25年末は4万2000円とはじいている。

 大和証券は24年末に4万3000円、25年4~6月は4万4000円と予想。こうした株価予想を受け入れるなら、いまは数少ない“買い場”ということになる。

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