累積赤字は膨れ上がるばかり…官民ファンドは第三セクターの二の舞か
なぜ、官民ファンドはこうもうまくいかないのか。「官民ファンドは政府の成長戦略を後押しする起爆剤として2013年以降、各省庁がこぞって設立した。形態は株式会社、一般社団法人、独立行政法人などさまざまで14ファンドが活動している」(中央官庁関係者)とされる。しかし、多くは当初の描かれた効果が得られていない。累積赤字が問題視されている株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)はその象徴だ。クールジャパン機構はクール(かっこいい)な日本を世界に発信するなど、訪日客を増やし日本の消費を盛り上げる事業に投資する官民ファンドで、2013年11月に発足したが、思うように投資ができず、累積赤字が積み上がっている。
そもそも官民ファンドは、「民間が取りにくいリスクを官が取り、民業を補完する形で資金を投じる仕組み。これで儲けようというものではない」(中央官庁関係者)と擁護する意見もあるが、損失は国民負担に跳ね返ってくるわけで、看過できない。
「官民ファンドは、設立の趣旨は国益に沿う高遠なものなのだが、運用が正直下手だ。官民出資ということで、責任の所在が曖昧なことも、投資判断が甘くなる要因となっている。官僚も天下り先のひとつという意識もある」(メガバンク幹部)という。