中国人の“爆買い”ブームは終了…訪日行動は「学び」にシフトしている
■店員の所作にホレボレ
Hさんがアテンドする中国人観光客の中には、売り場に立つ店員の所作にホレボレする人もいる。「品物をクルクルと包装紙に包む手さばきといい、支払いから客の見送りまでのプロセスといい、まるでひとつのセレモニーを見ているかのようだ」ーーと感想を漏らす。
東京在住の中国人ジャーナリストZ氏も日本と中国の違いを目の当たりにしている。
「近年、中国ではネット通販やデリバリーなどオンライン消費が急成長した一方、デパートやモールなどが大打撃で、倒産や閉店が深刻です。日系の大型店舗も撤退を余儀なくされる中、なぜ日本ではこれほどの活況を呈しているのでしょうか」
学びといえば、筆者は中国発の「日本庭園視察ツアー」に同行取材したことがあるが、専門家の講義を聞くため、朝9時には参加者全員がホテルの会議室に着席していた。
振り返れば十数年前、インバウンドも緒に就いたばかりの頃、中国人観光客は尊大なところがあった。これも筆者の同行経験からだが、移動のバスの中では風景を見るどころか麻雀に興じ、観光地に降り立っても「万里の長城とは比べものにならない」などと上から目線だった。
しかし月日が流れ、世代交代が進み、中国人観光客は冷静に観察するようになった。インバウンドは確かに相互理解を促す一面があると言えそうだ。 (つづく)