問われる商工中金の存在意義…2回の入札不発で完全民営に暗雲
苦肉の策として2回目から商工中金も入札に参加させたが、「保有株の売却益を政策の財源に当て込む財務省は価格を高く見積もり、当の商工中金の自己評価は財務省を下回るという奇妙な構図で、落札できなかった」(関係者)という。
そして最大の問題は、完全民営化後の商工中金の存在意義にある。完全民営化により、商工中金の業務範囲は一般銀行並みに拡大する。
関根正裕社長も「新しいことに取り組める。中小企業の課題解決につながるソリューションを提供したい」と意欲的だ。企業への出資上限が引き上げられるほか、システムの開発・販売や人材派遣業務なども可能となる。だが、「独自のビジネスモデルが描けているわけではない。オーバーバンキングが指摘される民間金融機関に屋上屋を架すだけでは意味がない」(銀行関係者)との厳しい見方もある。
とくに、商工中金の完全民営化は、既存の民間金融機関にとっては姿を変えたライバルの誕生にほかならない。中小企業融資での一層の金利競争激化も懸念される。3回目の入札は、商工中金の存在意義を問う試金石となりそうだ。
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