問われる商工中金の存在意義…2回の入札不発で完全民営に暗雲
商工組合中央金庫(商工中金)の完全民営化が不透明になっている。政府は保有する商工中金の株式46.5%(10億1600万株)を今年6月までに売却する予定で、過去2回にわたり入札を行ったが、「昨年7月の落札率は13%、今年1月の落札率は3%と散々な結果」(銀行関係者)というのだ。
とくに、2回目の入札では、商工中金自身も入札に参加したものの、価格が折り合わず落札できなかった。政府は3月以降、速やかに3度目の入札を行い、6月の完全民営化に間に合わせたい考えだが……。
商工中金は主に中小企業に貸し付けを行う政府系金融機関。1936年に設立され、株式は政府が46.5%、中小企業組合と中小企業が53%、残りの0.5%を商工中金が保有している。この政府保有分を売却し、その売却益を次世代半導体の研究開発や量産投資への補助などに充てる計画となっている。
入札が低調な背景にはいくつかの問題が指摘されている。まず入札参加者の資格制限だ。「入札に参加できるのは中小企業や中小企業組合、中小企業団体などに限られている」(関係者)という。だが、「正直、頼まれて最低限のお付き合いとして買った」(中小企業経営者)という声が絶えない。投資妙味に乏しいのだ。「配当利回りも低く、流動性が低く売りたい時に売れないリスクもある」(同)というのだ。落札率が低いのもいたしかたない。
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