西松屋は急務の海外事業を開拓できるのか…売上高は過去最高を記録も市場環境は厳しい
西松屋では安いもので1000円未満のTシャツやズボンを販売する。
中国でPB(プライベートブランド)商品を大量生産しており、手法はユニクロやGUなどのSPA(製造小売業)業態と同じだ。不景気下でこうした業態は消費者の支持を集めたほか、店舗運営にも安さの工夫がある。
「店舗は市街地から離れたロードサイドにあるため賃料が安い。『西松屋に行こう』と思う客しか来ないので、立地は問題にならない。ベビーカーで通りやすい広い通路も人気の一因。マネキンを置かず、畳む必要のないハンガー陳列に統一し手間を省いている。パート2、3人で店舗を回すことができ、人件費も安い」(同)
ただし、従業員の負担の大きさは業界でもよく知られているという。競合にはアカチャンホンポやミキハウスがあるが、ショッピングモールなど施設内出店が主で立地が異なり、価格帯も高めだ。店舗数では西松屋が1強なのである。
一方で海外展開はイマイチだ。12年には韓国に出店し、アジア圏で400店舗を目標としていたが、韓国店はすでに撤退。海外事業は伸びていない。近年では実店舗を構える代わりに、海外向けプライベートブランド商品の卸売業を模索している。少子化に歯止めが利かない国内事業は、いずれ限界を迎えそうだ。沈む国内市場を前に、海外事業の開拓が西松屋の急務である。
(ライター・山口伸)