「小池都知事はエジプトのエージェント同然」カイロ大の体質を知り尽くすジャーナリストが看破
浅川芳裕(ジャーナリスト)
エジプトの名門「カイロ大学」を卒業したのは本当なのか──。元側近の告発によって、東京都の小池百合子知事の学歴詐称疑惑が再燃している。知事は相変わらず「カイロ大が卒業を認めている」の一点張りだが、認定は妥当なのか。1990年代にカイロ大に通い、独自調査で大学の体質を知り尽くしているのがこの人。改めて小池の学歴詐称疑惑について語ってもらった。
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──小池知事の学歴詐称を告発した「女帝」出版直後の2020年6月、知事の卒業を証明するカイロ大声明が駐日エジプト大使館のSNSに投稿された。小池知事が再選した都知事選の告示直前でした。声明には報道への警告まで記されていましたが元側近の小島敏郎弁護士(都民ファーストの会元事務総長)は声明の文言案を小池知事と側近らが相談して決めていたと暴露。どう見ていますか?
民主主義の根幹である選挙に外国勢力が介入したという点は以前と変わりませんが、そこに小池氏の意図が働いていたとしたら大問題です。選挙への介入を導いたとなれば、国家への反逆といえる行為です。声明発表によって都議会の追及はストップし、日本の多くのメディアも沈黙。小池氏のみならず、声明を出したカイロ大としても狙い通りの展開だったはずです。
──カイロ大が大使館を通じて声明を公表し、メディアに圧力をかけるなど普通では考えづらい。そんなリスクをカイロ大が冒すものでしょうか。
カイロ大というのは、一般的な国公立大でもなければ、私立大でもない。エジプト軍事政権が直接、管理運営する国家機関です。学長のみならず、学部長でさえ大統領に任免権がある。カイロ大をおとしめる報道はエジプト国家そのものへの攻撃と同じです。政府による外国メディアへの圧力などエジプトでは日常茶飯事で、不思議なことではありません。カイロ大声明発表直後、政権寄りのエジプトメディアは「カイロ大、危機に瀕する都知事を救うために介入」「カイロ大、都知事の卒業証書を認めない日本メディアに対し法的措置で脅迫」などと報じたほどです。
──小池知事を相当大事にしているのですね。
その理由を一言でいえば、小池氏がエジプト政府のエージェント同然の存在だからです。カイロ大は、そうしたエージェントを養成する機関でもある。もちろん、小池氏だけに限ったことではありませんが。
■フセイン元大統領は「亡命枠」
──カイロ大では当たり前なのでしょうか?
後にエジプト大統領となるガマル・アブデル・ナセルが52年に軍事クーデターで政権を奪取して以降、小池氏が留学していた70年代まで、カイロ大には特殊な外国人留学枠が存在していました。ひとつは、アラブ諸国でエジプト国益に沿った反政府活動をする若者を亡命させ、母国に戻った時に工作員にする枠。いわゆる「亡命枠」でイラク元大統領のサダム・フセインがそのひとりです。
──小池知事は亡命したわけではありませんね。
小池氏は「亡命枠」ではなく、ナセル側近で情報相を務めたムハンマド・アブデル・カーデル・ハーテムの「特別枠」でした。エジプトの国策に都合のいいエージェントを育成するため、非アラブ国出身者を優遇する枠です。