著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

玉音放送を聴いて涙しなかった鈴木貫太郎首相の心理

公開日: 更新日:
行幸する昭和天皇と侍従長時代の鈴木貫太郎(中、1935年11月16日)/(C)共同通信社

 私が、なるほどと思った涙は、国務相の緒方竹虎の秘書官でもあった中村正吾(元、朝日新聞記者)の著作に書かれている涙である。中村は次のように書いている。

「(玉音放送を聞いて)陛下の一言一句に思はず目頭が熱くなった。戦争終結をよろこぶ涙ではない。敗戦の事実を悲しむ涙でもない。…

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