マー君にヤンキース入りを決意させた18歳の「原体験」
そこにはヤンキースのなりふり構わない攻勢があったわけだが、それにしても田中はなぜ、老舗名門球団を選択したのか――。
■松井秀喜がネット裏チケットを急きょ確保
06年8月29日、当時駒大苫小牧高3年だった田中はヤンキースタジアムを訪れた。
高校選抜チームの一員として、夏の甲子園決勝を投げ合った斎藤佑樹(現日本ハム)らとともにベンチへ。「ベーブ・ルースの建てた家」と言われる球場のグラウンドを見渡していると、サプライズが待っていた。左手首骨折からの戦列復帰を目指していた松井秀喜が突然現れ、ひとりひとりとガッチリ握手。田中は松井から「米国遠征の感激を忘れないように」と言葉を掛けられてニッコリ。「じかに見たらものすごくデカいなと。人間としてもいい人だと思ってたけど、大人の社会に出たらああいう人になりたい」と話した。
日本選抜を率いていた高野連は当初、ヤンキース戦のチケットを入手できなかった。観戦はいったん「中止」と発表されたものの、松井がネット裏のチケット30枚を確保した。