浅田真央の“最強参謀” ロシアでの絶大な存在感と影響力
「フィギュアスケートで金メダルを取るには戦略があるんです」
ソチ五輪を直前に控え、こう断言するのは、あるスケート関係者だ。
フィギュアの得点は技術点と構成点に分かれている。ジャッジ(審判)の目によって点数が異なるところが、この競技の採点がすっきりしない原因といわれている。
ならば、そのジャッジに好印象を与えれば基礎点の加点は多くなるはずだ。前回の五輪で金メダルを取ったキム・ヨナはそれが「はまった」。
キム陣営は2010年のバンクーバー五輪を見据えて、07年からサラエボとカルガリー五輪のフィギュアで銀メダルを取ったカナダ人のブライアン・オーサーに指導を直訴した。現在の羽生結弦のコーチだ。
キムは練習拠点をカナダ・トロントに移し、振付師もカナダ人のデビッド・ウィルソンに代わった。
「キム陣営は、指導実績はなくてもオーサーの人脈が魅力だった。09年に、カナダ人としては14人目のフィギュア殿堂入りが堅いとみられていたオーサーは国際スケート連盟副会長(デビッド・ドレ)らと親しく、自国のジャッジを通じ採点の傾向の研究も重ねていた。オーサーは、『体力がない浅田真央はフリーの後半にミスをする』と読んでいた。実際に浅田はフリーのジャンプでミスを連発。加点がすべて0点台(計2.72)だったのに対し、キムは0点台がなく計12点。オーサーの読みはズバリだったが、キムの高い加点はオーサーの尽力があったからです。それでも五輪の半年後にコーチを解任されたのは、キム・ヨナにとってはもはや用なしになったからでしょう」(前出の関係者)